永住許可の要件
素行要件・独立生計要件・国益適合要件 — 3つの基本要件を詳しく解説
永住許可の3つの基本要件
永住許可を取得するためには、出入国管理及び難民認定法(入管法)第22条に定められた要件を満たす必要があります。永住許可の要件は大きく分けて以下の3つです。
- 素行要件 — 素行が善良であること
- 独立生計要件 — 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
- 国益適合要件 — その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
これらの要件は全て満たす必要がありますが、日本人の配偶者や永住者の配偶者など、一部のケースでは素行要件と独立生計要件が緩和される場合があります。以下、各要件について詳しく解説します。
素行要件
「素行が善良であること」とは、日本の法令を遵守し、社会的に非難されることのない生活を営んでいることを意味します。具体的には以下の点が審査されます。
法令の遵守
日本の法律や条例を守って生活していることが求められます。刑事罰を受けたことがある場合、その内容や時期によっては不許可となる可能性があります。重大な犯罪歴がある場合は、永住許可の取得が困難になります。
納税義務の履行
所得税、住民税、消費税(事業者の場合)などの税金を適正に申告し、期限内に納付していることが必要です。未納や滞納がある場合は、素行要件を満たさないと判断される可能性があります。過去の納税状況も確認されるため、直近5年分程度の納税証明書の提出が求められます。
社会保険料の納付
健康保険料や年金保険料を適正に納付していることが求められます。2019年以降、社会保険料の納付状況は永住許可審査において特に重視されるようになりました。国民健康保険や国民年金に加入している場合は、保険料の納付証明書の提出が必要です。
交通違反等
軽微な交通違反(駐車違反、速度超過など)が数回程度であれば、直ちに不許可とはなりませんが、違反の回数や内容によっては素行要件に影響する場合があります。飲酒運転や無免許運転などの重大な交通違反は、素行要件を満たさないと判断される可能性が高くなります。
独立生計要件
「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」とは、日常生活において公共の負担にならず、安定した生活を送ることができる経済的基盤があることを意味します。
安定した収入・資産
継続的かつ安定した収入があること、または十分な資産を有していることが求められます。正社員として雇用されている場合は、安定した収入があると判断されやすくなります。自営業の場合は、事業の継続性や収益の安定性が審査されます。
年収の目安
明確な基準額は公表されていませんが、一般的に年収300万円以上が一つの目安とされています。ただし、扶養家族の人数によって必要な年収は変動します。扶養家族が多い場合は、より高い年収が求められます。
世帯単位での判断
独立生計要件は、申請者個人だけでなく世帯全体の収入・資産で判断されます。例えば、申請者本人の収入が少なくても、配偶者に十分な収入がある場合は、世帯として独立生計要件を満たすと判断される場合があります。
国益適合要件
「その者の永住が日本国の利益に合すると認められること」とは、申請者が日本社会に貢献し、日本にとって有益な存在であることを意味します。具体的には以下の条件が求められます。
原則10年以上の在留
引き続き10年以上日本に在留していることが原則として必要です。「引き続き」とは、長期間の出国などにより在留の継続性が途切れていないことを意味します。一般的に、1回の出国が3か月以上、または年間の合計出国日数が100日以上の場合は、在留の継続性が認められない可能性があります。
うち5年以上の就労資格での在留
10年以上の在留期間のうち、5年以上は就労資格(技術・人文知識・国際業務、技能、経営・管理など)または居住資格で在留していることが必要です。留学や家族滞在の期間のみでは、この要件を満たしません。
公衆衛生上の問題がないこと
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に定める感染症にかかっていないことが求められます。公衆衛生上の観点から、日本社会に悪影響を及ぼさないことが条件となります。
現に有している在留資格の最長の在留期間を有していること
永住許可申請時に、現在の在留資格で認められる最長の在留期間(通常は5年または3年)を有していることが求められます。在留期間が1年の場合は、まず在留期間の更新を行い、3年以上の在留期間を取得してから永住許可を申請することが推奨されます。
要件の緩和ケース
以下に該当する場合は、永住許可の要件が緩和されます。素行要件と独立生計要件が免除される場合や、在留期間の要件が短縮される場合があります。
日本人の配偶者
日本人の配偶者の場合、素行要件と独立生計要件が免除されます。また、在留期間の要件は「実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ引き続き1年以上日本に在留していること」に緩和されます。
永住者の配偶者
永住者の配偶者の場合も、素行要件と独立生計要件が免除されます。在留期間の要件は「実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ引き続き1年以上日本に在留していること」に緩和されます。
定住者
定住者の在留資格を有する場合、素行要件と独立生計要件が免除されます。在留期間の要件は「定住者の在留資格で引き続き5年以上日本に在留していること」に緩和されます。
高度専門職
高度専門職の在留資格を有する場合、在留期間の要件が大幅に緩和されます。高度専門職ポイント計算で70点以上の場合は3年、80点以上の場合は1年の在留で永住許可を申請できます。素行要件と独立生計要件は通常通り審査されます。
まとめ
永住許可の取得には、素行要件・独立生計要件・国益適合要件の3つの基本要件を満たす必要があります。特に、納税義務や社会保険料の納付状況、在留期間の継続性は重要な審査ポイントです。
一方で、日本人の配偶者や永住者の配偶者、定住者、高度専門職など、一定の条件に該当する場合は要件が緩和されます。ご自身がどの要件に該当するか、要件を満たしているかどうかの判断は専門家にご相談されることをお勧めします。